クラウドを支える技術

この本には2つの見方がある。1つは、Googleのような大規模クラウドサービスを構築するための要素の解説。もう1つは、単純にデータセンターの作り方というか仕組みの解説だ。

1つ目の部分は、本の中で占める部分はそれほど大きくはない。ただ、「安い非力なサーバVS高級な高性能サーバ」の比較や効率の部分は面白い。費用対効果を見た上で、どちらが優れているのか、ということになるので、そこそこ安いのを並べたからといって勝てるわけでもなく。非力なサーバを並べれば、その分、管理や並列化にかかる処理が必要なわけで、その工夫というか自動化の部分は参考になる。もちろん、WSCという考え方もだ。

2つ目の部分は、コンピュータを収める箱を用意するという意味では、普通のデータセンターを変わりない。データセンターの構造や要素を解説している。ただ、それが利用者ではなく、データセンターの設計者として目線で書かれている。正直よくわからない部分が多い。だが、置いてある機械や構造を知ることができるのは、なかなかそういう本がないので、いい本だと思う。

この本のメインテーマとも言えるWSC=倉庫サイズのコンピュータ(Warehaouse-Scale Computer、WSC)。WSCでは、少数の非常に大きなアプリケーションやインターネットサービスを走らせ、共通の資源管理インフラストラクチャを使用するので、「資源配置の柔軟性が高い」。一般的なアプリケーションとは、構造が異なっており、その効率化のためには、一般的なデータセンターを借りて運用するよりも、自前でデータセンターをWSCに最適化した上で作った方がよいという提案。普通の会社で、ここまでやろうとすると、かなりの大規模なサービスを提供していないとペイできないのではないか。この規模ともなると、GoogleやAmazonレベルの独自アーキテクチャを持つところの強みなんだろうと思う。

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