読了:Learn Better

ちょっと前の話になるが、「Learn Better」を読み終えた。とても興味深く面白かった。

この本を読んでみて変わったことといえば、何かを学ぶ(調べる)ときに意図的にLearn Betterのいう5段階を意識するようになった。全部を意識するのではなく、無理のない範囲でできる「目標を設定する」「関係づける」「再考する」を行うことが多い。

  • 目標を設定する
  • 能力を伸ばす
  • 発展させる
  • 関係づける
  • 再考する

目標は高くもたず、いま必要な最低限のレベルをハードルとして設定したり、関係づけとして、日常生活や仕事にどう関連するのかを考えたり、やった内容の振り返りを行ってみたりなど。それ以外にも、学習ハックとしても本の内容は使えている。そして、長期記憶としてや知恵としての定着化は、なかなか大変だ。とはいえ、意識しないよりも、意識して取り組んだ方が定着しやすいのも確かなことである。

この本は、自分で学習するときのも使えるし、人に教えてるとき(子供に教えたりするとき)のコースを考えることにも使える。この本はおすすめ。

以下は気になったところを引用。

P.27  学習活動がすべて段階的なアプローチを必要とするわけではない。例えば車のタイヤ交換の方法を学ぶのに、これから説明する手順に従う必要はない(役には立つかもしれないが)。だがもし知識を深める価値のあるスキル、つまり習熟する価値のあるスキルであれば、その専門知識を身につけるために体系的なアプローチをとる必要がある。次の手順だ。

 価値を見いだす:学びたいと思わなければ学ぶことはできない。専門知識を習得するには、そのスキルや知識に価値があるとみなさなければならない。さらに、意味付けを行わなければならない。学習とはすなわち対象の意味を知ることである。

 目標を設定する:知識を習得する初期の段階においては、集中が重要だ。何を学びたいのかを厳密に見きわめて、目的と目標を設定しなければならない。

 能力を伸ばす:練習にも、他人と差がつく力をつけられるようなものがある。学習のこの段階では、スキルを磨き、パフォーマンスを向上させることに特化した手段を講じる必要がある。

 発展させる:この段階では、基本から踏み出して、知識を応用したい。スキルと知識に肉付けして、より意味のある形の理解を形成したい。

 関係づける:すべてがどう噛み合うかがわかるフェーズである。私たちは結局、個別の事実や手順だけを知りたいのではなく、その事実や手順が他の事実や手順とどう関わり合うかを知りたいのだ。

 再考する:学習には間違いや過信がつきものだから、自分の知識を見直し、自分の理解を振り返って自分の学習したことから学ぶ必要がある。

 これらの段階すべてに通じるテーマがいくつかあり、本書で繰り返し取り上げる。一つは、学習とは頭を働かせる「活動」という面が強く、積極的に関与するほど学びも深まるということだ。新しいテキストを読んでいるときは、自分に問いかけをしよう。このテキストは何についてのものか?筆者が伝えたいポイントは何か?わかりにくいと思われるところはあるか?
 同時に、学習を管理してほしい。フィードバックをもらっているだろうか。自分のパフォーマンスをベンチマークしているだろうか。スピーチするなら、自分の動画を撮ろう。作文を書くなら、友達に読んでもらおう。スペイン語を学んでいるなら、ネイティブと会話しよう。学習するとなったら、学習の目標を設定して、何を習得したいのかを正確に知っておく必要がある。

P.27

P.104 これはその道に習熟した人の代表的な特徴であり、どんなプロもサックスバーグの言う「パターン認識力」を備えている。パイロットから建築家まで、バスケットボール選手からミュージシャンまで、専門家が物を考えるときは素人よりもつながりや関係性が見えている。彼らの長期記憶は個々の特徴ではなく結びつき、事実情報ではなく体系に根を下ろしているため、まるで占い師のごとく、あるいは「歩くデータ解析機」のごとくに、問題の表面的な特徴に惑わされず核心の課題を見通せるのである。

P.104

P.110 学習が進むと、意味というシステムに接続できる情報が増えていく。知識が他の知識と交わって溶け込んでいく。スキルが他の知識を支え、やがて、長期記憶に助けられて、私たちは習熟していく。専門知識は「長期間使われるうちに無意識化するのです」とクラークは語った。「無意識化のプロセスのおかげで『思考に使うスペース』が空くので、短期記憶を容量オーバーさせずに新しい学びを受け入れることができるのです。」
 結局はやはり「教育者の価値」に戻るが、学習にはテーマを熟知し説明のノウハウを持っている教師が必要だ。だからその分野の専門家だからというだけで先生を選んではいけない。そのテーマを教えた経験があり、主要なスキルや概念の説明のしかたを心得ている先生を探すべきだ。また、専門領域の根底にある思考を解き明かし、わかりやすく絞り込んだ形で説明している教材も必要である。

P.110

・P.126 私自身も長年にわたってポモドーロ・テクニックを使ってきた。それは自己効力感を高め、自分なりの試行錯誤を管理する方法で、おかげで何かに習熟するには管理が必要だとつくづくわかった。私たちには、専門知識に取り組むうえでつきものの注意散漫や未熟な間違いを乗り越える方法が必要だ。スキー選手のジム・テイラーがそれをうまく表現している。テイラーいわく、学習とは「心の目で成功を実感すること」である。

P.126

・P.149 このようなフィードバックが価値を持つ分野はバスケットボールにとどまらない。その大きな理由は、自分のミスにはなかなか気づきにくいことである。モニタリングしていてさえ、ミスのすべては発見できない。これが学習の本質、知識の本質であり、ここでもまた「教育者の価値」を思い知らされる。的を絞ったフィードバック、外部からの判断をしてくれる他社が必要なのだ。

P.149

P.164 この分野の研究で最も重要なのは、脳が新しい構造を作っていく具体的なメカニズムだ。脳はどうやら知的な苦労に対処しようとするときに白質を作るらしい。自分が知っているおととできることの間に大きなギャップがあると、脳はそれに対処しようと構造を変化させる。最近、ドイツの研究者グループがなぜそのようなことが起きるかについて新しい解釈を唱えた。「需要」が脳の「供給」をオーバーしたときに新しい神経構造が創り出されるのだという。
 フーは取材で、脳は学習の機会に反応するのだと述べた。過酷な状況に出会うと、脳あhその事態に立ち向かう。「脳はその事態への対処法を最適化するのです」とフーは語った。「何かをたくさん行うと、脳は『これは重要なのだ』と考え、うまくこなせるようになる戦略を開発します」

P.164

P.298 「学生なら誰でも詰め込み勉強はするなと言われたことがあるだろう」とその記事は述べていた。「学習の間隔をコントロールすることによる効果は非常に大きく、成果の向上が明らかに期待できるので、分散効果が発表された直後から、心理学者らは教育者に活用を促してきた」

P.298

P.305 大事な試験で好成績を取りたい?それなら試験勉強を早く始めて時間的に分散させ、数週間おきに自己テストを行って教材の知識を確実にしよう。我が家では、宿題を平日の夜に軽めにやり、週末に重点的にやるようになった。学習を分散させるという単純な理由からだ。

P.305

P.312 静かに熟考できる環境作りに積極的に取り組む組織も出てきた。環境作りに重要なのはIT技術の制限だ。携帯電話の持ち込みを禁止した大学がいくつかあるほか、フランスでは保育園でWi-Fiを制限することまでしている。「沈黙」部屋を設けた組織もある。ボルチモアにあるグルーヴというマーケティング専門のスタートアップ企業は「おしゃべり禁止」ルールのある図書室を設置した
ハイテク企業グーグルも同様で、同社は仕切りのないオープンフロア型オフィスで知られるが、社員が真剣に集中しなければならない場合には個室を予約するよう奨励している。

P.312
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