読了:世界が変わる「視点」の見つけ方

広義のデザインという視点から、物事の整理やアイデア出しの方法を述べている。その中でも、“自分事化する”、“ノイズ”、“疑う(問題の本質を探る)”、“「勘」と「感」”という4つは重要。その中でも、最初のステップにして重要なのは、”自分事化”のところだ。いかに物事を他人事ではなく、自分事として考えられるようになるか、物事を置き換えて自分事にするか、というのは簡単そうに見えて本質を捉えるのが大変だ。その上で、あえてノイズとなるものも必要(セレンディピティなどにつなげたりするためにも)。自分事化をしても、問題が自体がシフトしている可能性もあるので、問題の本質をさぐるために疑ってかかるなど。

そして最後は、経験の積み重ねなどからくる「勘」と「感」は大事だということ。これがきかないと、無機質な単純なデータ分析の結果と変わらない。特にこの先、AIなどが発達し分析が高度化すると、それこそ「勘」と「感」が重要になってくる。この点は、多いに同意だ。たとえそれがAIと同じ結果になったとしても、分析結果や施策がよいかどうかは人によって判断されるべきであるし、その方が最終的な精度は上がるのではないかと。そのためにも、物事の見方を変える視点というのは重要だし、そのスキルを身につけることは重要だと思う。

いくつか気になった部分をメモのために引用。

P.74 自分事化とは、その問題を社会的なものとしてではなく、自分の側にひきつけて考えること。その問題のどこに自分との接点があるかを見つけることです。あらゆる分野で成功している人たちは、まさに問題となる対象を自分事化できている人たちです。僕自身も、すべてのプロジェクトで必ず最初に考えることは、どこに自分事化する接点があるか、ということです。自分事化しないで始めてしまうと、リアリティを伴った説得力のある答えが導き出せないのです。 とはいえ、いうほど簡単なことではありません。僕でも仕事の対象商品が、たとえば女性ものですと、なかなかすぐに自分事化できません。しかし、それでもまず商品に向き合ってみる。その時の感覚が、自分の中にある別の体験に置き換えられれば、それがリアリティをつかむきっかけになります。

P.172 技術的特異点といわれる「シンギュラリティ」を迎え、AIが社会を動かす時代が来たら、人間の脳の容量で考えるロジックは、あまり大きな意味を持たなくなるのではないでしょうか。ということで、大きく一回りして、今度はまた、もっと根本的で動物的なことが大事になるではないか、と予測しています。ロジカルに解析できない人間の身体的感覚というものこそ、最も重要になると思います。 僕が「勘」と「感」にこだわるのは、そのような文脈においてです。「勘」と「感」が大事だというと、その背景を飛ばして「なんだ、深く考えないでいいんですね」となりかねませんが、そうではないのです。「勘」と「感」を鍛えることに、ショートカットはありません。そのためには、経験を重ねることが、何よりも大事になります。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする