「イシューからはじめよ」読了。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人

英治出版 2010-11-24
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久しぶりに良い本に出会えた気がする。「犬の道に入る」や「悩まない、悩んでいる暇があれば考える」「バリューのある仕事」など、心に刺さる良い言葉だ。

「犬の道に入る」とは、一生懸命やっている、昨日も徹夜でした、は自分の価値を上げる頑張り方ではなく、下げる頑張り方。1日に5分しか働かなくても、合意したアウトプット以上が出せていれば問題ないということ。闇雲に体力と根性に任せて手当たり次第仕事をしていくことを「犬の道に入る」と著者は言っている。確かに成果物が求められるビジネスや研究の場合は、費やした時間や努力など評価されない。悲しいかなアウトプットだけで評価される。そのような仕事の場合、「バリューのある仕事」が求められる。バリューのある仕事とは、「イシュー度の高い問題に対して、解の質を上げた仕事」のこと。一心不乱に大量の仕事をすることで、バリューを上げようとしてもムダである。なぜならば、イシューを考えないで解の質を高めたとしても、バリューのある仕事にはなり得ないということ。 明快なことだ。知的生産を求められる仕事ではない場合でも、目の前にある大量の仕事を片付けていたとしても評価されない。緊急度の高いものや現在の課題になっている仕事を片付けないと話にならない。知的生産を求められる仕事ならば、努力賞というものはなく結果だけがモノをいう世界だ。時間労働者でもないかぎり、求められるのはバリューのある仕事だろう。時間よりも成果で測られてしまう世界。

「イシュー度」×「解の質」=「バリューのある仕事」

意識しなければ、ついつい犬の道に踏み出してしまいそうになる。何かをする時、簡単だろうと高をくくって始めてしまうと犬の道にハマってしまう。途中でやっていることに対して見つめ直しをすることができれば、ある程度イシュー度を高めることができる。「バリューのある仕事」をできるように心がけるようにしたい。

もうひとつ重要なのが「悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える」ということ。今まで「悩む」ということと「考える」ということを意識したことがなかった。悩んで答えのでない問題をひたすら考えていたこともあった。10分以上真剣に考えて答えが出なければ、悩んでいる可能性が高いというのはもっともなことだ。実体験を見つめ直してみると、10分考えて進展していないとき、考えていないか考え方が間違っていて「どうしたらいいのか?」という悩みに突入していることが多い。著者は、「悩む」と「考える」の違いを認識することは知的生産に関わる人にとってはとても重要だ、と言っている。まったくその通りで目から鱗がおちた気分だ。

この本、刺激的でよい本だった。自分の中で響いたのは、ほぼ前半だった。後半のほうは解の質の高め方などのノウハウだったので、読み流してしまったところがある。1章までのイシューについて考えるところが一番興味深かった。読んでよかった。

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