
本のジャケットにひかれて読んでみた、というのが本音。見た目で惹かれるというのは重要なんだけど、本のタイトルと矛盾させているのが何とも面白い。
「見えない」ということを身体論としてとらえているのが興味深い。「私たちが最も頼っている視覚という感覚を取り除いてみると、身体は、世界のとらえ方はどうなるのか?」という問いがたてられている。いろいろな例があり、特殊なことは何もなく、目が見えない人の一般的な感覚と思われることがいい。大岡山の例とか、視覚情報に頼ると山ではなく、ちょっと高い地理だけど、見えなくて歩いた感覚で山というキーワードがあると、そこは山だという。見えるものを考えずに、行程を考えてみると、確かに山だと感じる、なんとか山とついている高台の寺も、そう考えると山なわけで、まわりの建物が高くなっているのでわかりにくいけれど、昔の感覚だと山なんだろう。
あと、見えないがゆえのトライアンドエラーも普通のようで、慣れというか、新しい感覚という。別の能力というわけではなく、視覚に頼っていると使わない感覚の感度が上がったという。身体論的にも、感覚が広がっている感じなんだろう。意識するというか、意識せずに使えるようになる感覚というか、面白かった。読んでよかった、と思う。
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