
読了。面白かった。行動学寄りとか脳科学寄りと思っていたのだけど、読書と労働の関係の話だった。ストレートな解を返してくるのがスマホで、読書はいろいろな情報が入ってくるので、疲れるとその気になれない、と。
趣味としての読書と、情報収集としての読書。情報収集の読書は必要にかられてやる。いまは、スマホでネット検索したほうがストレートで必要な情報だけを見れるので、楽なスマホに流れがち。働く時間が長くて疲れていると、楽なほうがいいので、本を読まなくなると。わかる気がする。この本ではふれられていないが、脳科学的なスマホが与えてくるフィードバックの報酬のことを考えると、使えれているときはどうしてもスマホの誘惑に負けてしまう。体力だったり、精神的な余裕がないと、本は読めない。漫画でもちょっと重めな内容理解にパワーを使うものはダメだもの。
明治以降の労働と読書の関係は、面白かった。こんな変遷があるのかと。本を読む、本を読まねばならない、という習慣を見に付けてしまっていたので、時代によって位置づけが変わるとは考えたこともなかった。深く考えずに、読み始めて、意図していなかったことに出会えるというのも読書の良さだな。
気になったのは、P.20の「あなたの『文化』は、『労働』に搾取されている」とそれに続く「現代の労働は、労働以外の時間を犠牲にすることで成立している」というところ。文化的なことには、やはり時間と余裕が必要なのだ。結論も含めて、他にも面白いところがあるので、読んでみると良い。