『バーンアウト:使命感の喪失が引き起こす「病」』を読んで

ハーバード ビジネス レビューの2021年7月号の『バーンアウト:使命感の喪失が引き起こす「病」』を読んで。

バーンアウトというと、燃え尽き症候群というように捉えていた。それで、何か大きなプロジェクトや仕事をやり終えた後のハイな状態からローな状態に遷移したときの状態というイメージがあった。今、問題になっているバーンアウトは不完全燃焼タイプのようだ。

社会で問題になっているバーンアウトは、清々しさとは正反対の、むしろ「燃えたかったのに燃えられなかった」、不完全燃焼の意味に近い。

July 2021 Diamond Harvard Business Review 『バーンアウト:使命感の喪失が引き起こす「病」』

これは実感としても、かなりある。このバーンアウトに至る要因は、「個人要因」と「環境要因」の2つがある。個人要因の方は、ストレスとの向き合い方や自身の裁量権の少なさ、ワークライフバランスなど。環境要因は、ミスが許されない労働負担やノルマがきびしい、時間に追われているなどだ。環境要因は、研究の中で役割の曖昧さがバーンアウトとの関連性を指摘されているとのこと。本文中にも、「役割が曖昧な状況とは、仕事のゴールや評価が明確でなかったり、自分の責任の及ぶ範囲がわからなかったりなど、自分には何をどこまでやることが期待されているのかがはっきりとしない状況を指す。」とある。この曖昧な状況というのは、よくありそうだ。人が少なくなって、グズグズな状況になっていると、否応なしに、仕事が増えていく。そうなると曖昧な状況になるわけだ。

それから、バーンアウトの尺度(日本版)があり、セルフチェックできる。尺度は3つの項目から成り立っている。尺度があることで、よくも悪くも数値的にわかるので、客観的にみることができる。セルフチェックしてみたところ、自分自身がバーンアウト状態のようだ。最初にこの記事を読んだときは、そうではなかったが。数ヶ月でも状況は簡単に変わるということだ。

記事では、バーンアウトに至る仮説として、次にように書かれている。

バーンアウトへと至るプロセスについての一つの仮説に行き着く。日々の仕事の中で情緒的消耗感が蓄積され、自衛的な行動傾向である脱人格化が生じる。筆者はこの状態を、バーンアウトのプロセスに入ったという意味で「バーニングアウト」(burning out)と呼んでいる。この状態は、情緒的消耗感と脱人格化は進行しているが、個人的達成感、つまり仕事へのやりがいは保たれている状態だといえる。

バーニングアウトから完全な燃え尽きに至る最後の砦が、個人的達成感なのではないか。個人的達成感が何かのきっかけで失われると、離職や心身の不調につながっていくと推測することができる。

July 2021 Diamond Harvard Business Review 『バーンアウト:使命感の喪失が引き起こす「病」』

研究成果とか裏付けの部分は置いておくとして。やりがいという精神論が崩れたところで、いろいろとどうでもよくなるわけだ。最後のやりがいが崩れるのは、ふとした瞬間かもしれないし、他の誰かの発言かもしれないわけだ。でも、何かが原因でトリガーがひかれた瞬間に、どんとバーンアウトに至るわけだ。最初に読んだときは、「ふーん。なるほど。」な感想だったわけだが、今はよくわかる。バーンアウトになったら、なかなか抜け出せない。不完全燃焼のバーンアウトは難しい問題だ。

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