読了:みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史

素直な感想としては、「あ、そう。」というくらいだ。タイトルにあるように、苦闘であることは書かれている。失敗したことについても書かれている。だけど、やっと成功した部分についての記述がほぼない。失敗のケーススタディとしてはいいのだろう。成功に繋がる部分としてのケーススタディに使えそうな部分はほぼなし。35万人月もかけているわけで、これだけ巨大な開発プロジェクトの回し方や管理については書かれていない。なので、こういうこともあったね、というような読み方になってしまい、プロジェクトマネジメントとしてのケーススタディには使いにくい本だった。それでも、銀行系システムとして、どのような言語やマシン(メインフレームやLinux系オープンシステムなサーバ)を使っているのかは書かれており、そういうところは有益。そして、新しいシステムもメインどころは、COBOLで、各種商品(ローンとか)や機能でJAVAを使っているなど(P.66の表)は、面白い。銀行系は、COBOLを使いつづけるので、この先の技術者確保をどうするのだろう?という疑問はある。JAVAにしても、サポート期間が変わったので、この先のアップグレードが大変そうだ(塩漬けにして、そのまま使い続けるという選択はありえるのだろうけど)。

それから、前半の方は、システム統合について讃えている。後半は2度の失敗について書かれているだけである。この本自体が、過去の日経コンピュータの記事を元にしているので、後半は特にそれの焼き回しになっているため、痛烈な批判が多い。本の内容としては、組織の上層部向けであり、上層部の判断ミスによるところをちゃんと書くという意味ではよいのだろう。ただ、現場については、ほぼ触れられていない。(日経コンピュータの取材から作成されているので、現場の実態は拾えていないのだからしょうがない)

それにしても、ついに成功したのか、と関心する。ITのサクラダファミリアとか揶揄されていたので、ずっと失敗を続けるのかと思っていたので。実情はわからないが、システム統合おめでとうございます、だ。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする