読了:医学のたまご

小説なので、さくっと読めた。テンポがよくて、読みやすくて、テーマが美味しいところだけを獲ろうとする大人の汚さで面白い。学術論文をめぐるようなアルアルな感じもいい。医学部に限らず、社会学的なものでも、同じようなことはありそうだ。本人の知らぬところで、勝手に事が大きくされて、最後にはしごを外されるのはよくありそうだ。

小説としても、面白いのだけど、章題がぐさりとくる。「悪意と無能は区別がつかないし、つける必要もない」とか「世の中で一番大変なのは、ゴールの見えない我慢だ」、「閉じた世界は必ず腐っていく」はよい。本当に、これは、そうだと思う。わかってはいても、大変である。しかしながら、気がつけるかどうか、対処できるかどうかは重要なんだが、これは手に余ることが多いので、どうにもならなかったりする。組織や人というのはそういうものだろう。

それから、次点としては、「エラーは気づいた瞬間に直すのが、最速で最良だ」だ。これも本質であるのだけど、普段から身にしみてやっていることなので。エラーはさっさと直すのが一番だ。

それで、小説の話としては、最後のエピローグがもうちょっとあるとスッキリしたかも。事件としては、解決というか収束しているのだけど。気になる余韻があるのが狙いだろうか。

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