読了:ドリーム・ハラスメント

読了。気になって読んでみた。確かに、就職の面接で夢とか未来の展望とか聞かれる。でも、聞かれてもなぁ、困るわな。仕事というか職種ならば応募した時点で、希望なんだから、それ以上は。テンプレなことを言えないので、これ、聞かれると困る。中学、高校のときも、たしかに困った。。。書くと、夢なのかと問われていたな。無駄に、夢に期待しすぎ。大きいことを書くと、それはそれでアレな感じで扱われるし。いっそ回答をくれと言う感じだった気がする。

本の内容は面白かった。ハラスメントと言われるとその通りな気がする、実体験としても。あとは、ハラスメントの加害者側にならないように気をつけないと、とも思う。世は変わっていくので、自分がされたことが、今の正義や正解とは言えない。ハラスメントの種類が増えたのも、そういうこと。そういう世は、いいことなんだろうけど、とても難しい。

これは、読んでみるといい本。こういうこともあるのか、とも思えるし、こんなことがあったとも思える本だ。

以下は、気になったところの一部。

P.003 大学生の七割以上は卒業後の進路で就職を選びます。その就職活動における面接で、彼らは夢を問われています。面接官を経験した方であれば、「あなたの夢を教えてください」「10年後どうなっていたいですか」など大学生に夢を聞いたことがあるのではないでしょうか。
 実はそれ、ハラスメントなんです。もちろんすべてではありません。なかには夢を持ち、夢の実現のために日々努力して生きている若者もいるでしょう。
 しかし、私が現場で相談を受けるのは、「夢なんて無いんですけど、どう答えればいいんですか」という嘆きや不満の声です。私はこれを「ドリーム・ハラスメント」と読んでいます。嫌がらせだと感じる受け手が後を絶たないからです。

P.025 「将来の夢」は転職面接でもよく聞かれる質問です。その証拠に、エン転職、doda、リクルートエージェント、リクナビNEXTなど転職支援サービス各社が「将来の夢」を質問する意図や答え方の指南を情報提供しています。夢を聞くことで「自主的・能動的に動ける人材かどうか」を判断し、「意欲的な人かどうかを見たい」のだそうです。

P.099 古代は「見るもの」だった夢が、近代になり「持つもの」へと転じました。一方の職業は、所与の条件としての「義務」から自由に選択できる「権利」へと変化しました。ともに、20世紀になって初めて自らの自由意志で選択可能となった点で共通しています。
 つまり、夢も職業も自己表現のアイテムになったのです。夢と職業のオーバーラップは、若者たちを日々勤勉・倹約に向かわせたい大人たちにとって好都合でした。 「なりたい職業」も「やりたい仕事」も、若者たちにとって「現時点では非現実的」な事柄です。しかし職業選択が自由化されたことで、実現可能性はゼロではなくなりました。
 また、職業の選択は権利となりましたが、勤労自体は義務です。働かねば生活は成り立ちません。生き死ににかかわる問題ですから、若者たちは職業選択を本気で「成し遂げたい」と考える。厳密には、考えざるを得ないのです。
 こうして、「現時点では非現実的」ながらも「成し遂げたい」事柄として、職業が持て囃されます。義務でもあり権利でもある職業は夢にぴったりなのです。
 若者たちの夢が本気であればあるほど、彼らから継続的な努力を引き出すことができる。若者たちに職業的夢を持たせることは、個人の人生を豊かにし、社会全体の発展にも寄与する巧みな仕掛けです。 「夢」の意味からすれば、職業ばかりが夢になるのは異常ですが、若者たちは現に職業以外の夢を認められなくなっているのです。

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