働かないアリに意義がある

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
長谷川 英祐

メディアファクトリー 2010-12-21
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良い本だった。普段、何気なく見ているアリだけど、その群れというか社会は思ったよりも複雑だった。アリの群れの中で役割が決まっていて、通常通りの作業だったら一部のよく働くアリだけで仕事を片付けてしまう。だから、7割近いアリは働かない。それでも、仕事が増えてくればほとんどアリが働くのだけど、仕事を見つけるのが疎いアリは仕事に有り付けず働かない。実験で働くアリを排除してみると、働かなかったアリもちゃんと働くのだ。つまり、一部のアリは働きたくても鈍臭くて働く前に仕事が終わったりしてしまい、働けないのだ。これは人間にも置き換えられそうだ。働く意識はあっても、仕事が見つからないから働けない。鈍臭くて雇ってもらえない。んー、アリも人間も、そういう意味では大差はなさそうだ。アリは群れで餌を確保しているので、働けなくても食べるものにはありつけるし、住処もあるということ。人間だと、無理でしょうね。

そんなアリの社会だけど、働けないではなくて、本当に働かない狡いアリもいるとのこと。このチートをするアリの割合が増えると・・・群れ全体の効率が下がって滅びてしまう。群れが滅びることで、チートするアリの増加が抑えられるのでチートアリだけの群れはない。チートアリは働かないのだから、割合が増えると資源を食いつぶして、社会が成り立たず潰れていくのだ。人間社会も似たようなものだろう。チートばかりやっているモノが増えると会社が潰れたり、コミュニティが成り立たなくなったり。日本でいうところのニートはどっちなんだろ。仕事が見つからないほうはまだマシなんだろうけど、親にパラサイトしている方のニートは親が死ぬか財産がなくなると一緒に死滅していくのだろうな。まぁ、人間はアリとは違うから、危機的状況になれば働くだろうし、更に狡いことを思いつくのかもしれない。

話を元に戻すと、アリも思ったよりも働き者ではないし、一枚岩じゃないということだ。意外に効率のよい社会は、非効率的な部分を残すことで機能するのかもしれない。人の行動をみるだけでなく、アリの行動と比べることで人間の社会や組織も広がっていくのかもしれないと思う。

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