読了:映画を早送りで観る人たち

読了。なるほど、答えをすぐに求める人たちの行動原理がわかった気がする。「タムパが悪い(タイムパフォーマンスが悪い)」と「マウントを取る」と「リキッド消費」がキーのようだ。

面白くないものに時間をかけたくないからネタバレやファスト映画が好まれると。そして周りについていくために、倍速で映画やドラマを見ると。もう、ここらへんは周りに合わせるための義務感でしかないけれど、周りについていく(=マウントをとられないように)ために観ているのか。そのようなことを続けていれば、普段から倍速だったり飛ばしてみるわけだ。倍速などの見かたになれていると、わかりやすい話や不快な話は嫌だから、説明の多いセリフまわりだったり、わかりやすい(ラノベのような)内容によっていくと。そのような作品のほうがタムパはいいので、流行る、ということか。なんとも不思議だけど、そういうものかもしれない。

タムパでいうと、確かに面白くない映画やドラマは見たくはない。他にも、研修だったり、ウェビナーでも面白くなければ(もしくは興味が湧かなくなれば)みない。面白くなるかも、という期待もあれば倍速でなり飛ばし飛ばしでみることもあるか。ながら聞きということも考慮すると、学習(研修)などのコンテンツも映像が好まれるのがわかる気がする。自分自身はタムパを気にしないけれど、何かわかった気がする。

それから、「リキッド消費」は、フルーラ・バーディとギアナ・エカートという2人のイギリス人研究者が提唱した消費の概念だ。従来型の安定的な消費(ソリッド消費)に対して、流動的な移りの早い消費をリキッド消費(液状化した消費)としている。リキッド消費は、「短命」「アクセス・ベース(サブスクなどのモノを持たず利用する)」「脱物質的」の3つが特徴だという。情報もモノも多いので、安定的な所有型から、その時だけ使う流れていくような消費なわけだ。物として買うわけでなく、利用するだけなので、吟味せずに、たまたま出会って使うだけ(見るだけ)ならば、わかりやすさやキャッチーさが重視される。リキッド消費が多くなると、ビジネスとして無視できないわけで、リキッド消費向けのコンテンツやサービスが増える。だから、映画やドラマなどが倍速で消費されるようにみられる行動がさらに助長されていく、という循環になる。不思議だけど、ビジネスを時代に合わせると、そうなるのだろう。

たぶん、ネットの記事で「TL;DR」(Too Long;Didn’t Readの略で、スラングとしての要約的なもの )がよくついているのも、タムパやリキッド消費に関連しているのだろう。書いている方が意識しているかどうか別にして、だが。流行りとしての「TL;DR」の方が多そうな気はするが、タムパ重視を後押ししていることには違いないだろう。

なかなか面白かったと思う。もう少しリキッド消費は調べようか。

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