読了:デジタル・ミニマリスト

ちょっと気分がのらないときにSNSを見始めると、一時間や二時間くらい経っていることがある。なにか目的があるわけでもなく、目的があったとしても横道にそれてしまうようなことがある。SNSやネットサーフィンを止めなければと思う。そんなときに本屋で見つけたのが「デジタル・ミニマリスト」だ。

この「デジタル・ミニマリスト」には、結構厳しい哲学がかかれている。本当に必要なデジタルツールを選別するためのデジタルデトックス、費用対効果からのツール選定。厳格なルール決めと、その維持。それで実際に初めてみても、リバウンドしてしまうケースが多いとのこと。ただ、時間を無駄にしてしまうことだけに焦点をあてれば、行為依存するように設計されているデジタルツールからの脱却を図るだけでも効果はある。なので、前からやっているスマートフォンにFBなどのアプリをインストールしない、無用な通知は切る(無視する)は効果的であることの裏付けにもなった。この本を参考にして、もう少し発展させて、見る回数を減らす、書き込みを減らす(いいねを減らす)、ある程度の孤立は恐れない、ということをやったら、時間的にも心的にも軽くなった。

この本のように厳格なデジタル・ミニマリストの方がよりよいのかもしれないが、無理は禁物。身の丈にあう、続けられる内容で実践するのがよい。

以下は、気になったところの抜粋。

P.9 現代のデジタル・ライフについて議論するうえで繰り返し耳にしたキーワードは”疲労感”だった。個別に見れば、どれか一つのアプリ、一つのウェブサイトだけが悪者というわけではない。多くの人間が問題だと思っているのは、あまりにもたくさんのアプリやウェブサイトがきらきらと光を放って朝から晩までユーザーの注意を奪い合い、人の気分に影響を及ぼしていることだった。このカオスの真の問題は、ディテールにばかり目を凝らしていても見つからない。問題はそこではなく、自分ではどうにもできない状況になりつつあるという点にある。これほど多くの時間をネットに費やしたいと思っている人はあまりいないだろうに、デジタル・ツールは、行為依存を促すように設計されている。ツイッターをチェックしたい、レディット(英語圏で人気のあるソーシャル・ニュースサイト)に新しい投稿がないか確認したいという抑えがたい衝動は、目の前のことに集中すべき時間を細切れにし、日々を主体的に過ごすのに必要な平常心を乱す。

P.9

P.10 リサーチをしてもう一つわかったのは、無制限にネットに接続していると心の健康をむしばまれることだ。私が話を聞いた人々の大半が、ソーシャルメディアはユーザーの感情を引っかき回すと訴えた。日常を切り取って念入りに編集した友人の投稿にしじゅう接していると、劣等感にさいなまれる。もともと気分が落ち込んでいたときなどはとりわけそうだろう。また、十代の若者にとっては、誰かを仲間外れにする残酷な手段にもなる。

P.10

P.37 トリスタン・ハリスが警告したとおり、新しいテクノロジーへの依存に認められる特徴は、多くの場合、偶然の産物ではない。巧妙にデザインされた機能によって引き起こされたものなのだ。 オルターの結論は、おのずと次のような疑問につながる。新しいテクノロジーはなぜ、行為依存を助長するのに適しているのか。このテーマに関するオルターの研究を詳述した2017年刊行の「僕らはそれに抵抗できない」(ダイヤモンド社)は、私たちの脳を惑わせて不健全な使用を促す狙いでテクノロジー製品に”投入されている成分”を数多く取り上げている。そのなかから、この本のテーマにとりわけ関係が深いというだけでなく、テック企業がどのようにして行為依存に拍車をかけているかを調査した私のリサーチでも繰り返し現れた二つについて、ここで簡単に紹介したい。”間歇強化(かんけつきょうか)”と”承認欲求”である。

P.37

P.48 デジタル・ミニマリズム自分が重きを置いていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、ほかのものは惜しまず手放すようなテクノロジー利用の哲学。

P.48

P.49 この哲学を採用したデジタル・ミニマリストと呼ぶべき人々は、費用対効果をつねに意識している。新しいテクノロジーが登場したとき、それを利用してもわずかな娯楽や利便性しか得られていないと判断したら、初めから手を出さない。自分が大事にしていることを後押ししてくれそうだとわかった場合でも、その新しいテクノロジーは、さらに厳格な基準をもう一つパスする必要があるーー目標を達成するために、そのテクノロジーを利用することが最善といえるかどうか。この基準に照らし合わせた答えがノーなら、ミニマリストは、そのテクノロジーの最適な利用法を探るか、もっとよい別の選択肢を求めて情報収集を再開する。

P.49

P.65 デジタル・ミニマリズムを論じる章でこの経済学の法則を持ち出した理由は、次のようなものだ。”生涯プロセス”の定義の解釈にいくらか幅を持たせれば、収穫逓減の法則は、私たちが生活のなかで価値を産み出すために新しいテクノロジーを利用するさまざまな場面にも当てはまる。収穫逓減の法則の観点から一人ひとりのテクノロジー・プロセスを注意深く見ると、デジタル・ミニマリズムの第二原則ーー自分が利用するテクノロジーの最適化を図ることは、どのテクノロジーを利用するかを最初に決めるのと同じくらい重要であるーーの正当性を理解するのに必要な語彙をひととおり知ることができる。

P.65

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